土壌汚染調査の費用は何で変わる?公的試算例と確認項目
著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
土壌汚染調査の費用は何で変わる?公的試算例と確認項目
土壌汚染調査の費用は単一の価格帯では決まらず、調査範囲、敷地条件、対象物質、地点数、報告・協議の有無をそろえて初めて比較できます。金額だけを先に並べると、地歴を確認する調査、土を採取する調査、地下水を測る措置までを同じものとして比べてしまいます。見積を読む前に、何を調べ、どこまでを含むのかを確認しましょう。
費用を比べる前に、法定調査か任意の調査かを確定します。法定の契機に基づく調査は指定調査機関に行わせる必要があり、任意の調査では結果を何に使うかによって必要な確認が変わります。調査結果が出た後の措置や地下水の測定も、調査費用とは分けて扱います。
土壌汚染調査の費用を比べる前提
費用の比較では、同じ「土壌汚染調査」という言葉でも、対象範囲と成果物が同じかを確認することが欠かせません。まず契機と調査段階を分け、見積に含まれる作業をそろえます。

| 比較前にそろえる項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 調査の契機 | 法令上の届出・命令か、売買などを目的とした任意調査か |
| 土地の条件 | 面積、過去の利用、対象物質、地下配管などの状況 |
| 調査の範囲 | 地歴、土壌ガス、表層土壌、ボーリングのどこまでか |
| 地点数 | 採取、掘削、分析、観測井戸の本数や回数 |
| 成果物と対応 | 報告書、行政との協議、測定、対策を含むか |
法定調査と任意の調査を分ける
法第3条、第4条、第5条の契機に基づく法定調査では、指定調査機関に行わせることが求められます。法令上の手続や報告を含むかどうかで、任意の調査と依頼内容は同じになりません。費用を比較する際は、依頼先へ「法定調査に当たるか」「行政への報告や協議を含むか」を最初に伝えます。土壌汚染対策法第3条から第5条と同施行規則を2026年9月5日に確認しています。
法律の調査契機に当たらない任意の調査では、法律上の実施主体の限定は置かれていません。ただし、調査結果を法第14条の区域指定申請に使う場合は、調査が公正かつ法第3条第1項の環境省令で定める方法により行われたと知事が認めることが必要です。単に価格が低いかではなく、調査結果の用途に合う条件かを確認します。
調査と対策・測定を分ける
地歴調査、土壌ガス調査、表層土壌調査、ボーリング調査は、汚染の状況を確認するための調査です。これに対し、観測井戸を使った地下水の水質の測定や汚染除去等の措置は、調査後に必要性を判断する別の作業です。調査結果が出たことだけで、すべての土地に高額な浄化が必要になるわけではありません。
環境省の審議会資料は、平成22年度からの累計で報告された法に基づく調査結果13,974件のうち、区域指定に至らなかった件数と形質変更時要届出区域に指定された件数の合計を12,964件と整理しています。さらに、累計の指示措置1,019件のうち739件、73%は地下水の水質の測定です。同資料は多くの場合、汚染の除去等の措置は不要と整理しています。環境省の審議会資料は制度見直しの検討資料であり、将来の改正内容を示す資料としては扱いません(2026年9月5日確認)。
公的試算例を読むときの条件
公的資料の試算例は、金額だけでなく設定された土地と汚染の条件を読むためのものです。別の面積や地点数の案件に、そのまま当てはめることはできません。

調査580〜680万円程度の試算例
この試算例は、敷地面積約5,500平方メートルでトリクロロエチレンと鉛を使用し、地下ピットから排水処理施設まで地下配管がある条件を置いたものです。両物質が対象区画の一部で基準不適合となった設定で、地歴調査100〜200万円程度、土壌ガス調査25地点80万円程度、表層土壌調査45地点250万円程度、ボーリング調査2地点150万円程度、報告・協議等40万円を1回として、調査計580〜680万円程度が示されています。
これは、環境省の審議会資料にある一例の概算です。資料自身も、調査や措置の費用は諸条件によって変わるため、一例として試算した概算であると注記しています。面積で割って単価を作ったり、別の土地の一般的な費用として扱ったりしません。環境省の審議会資料を2026年9月5日に確認しています。
措置950万円程度の試算例
この試算例は、敷地面積約5,500平方メートル、トリクロロエチレンと鉛、地下配管という同じ前提で、それぞれ1地点の地下水の水質の測定を措置として行う設定です。観測井戸は約110万円を2本、パージ・採水は約25万円を20回、分析は約1万円を20回、報告・協議等は40万円を年1回で5回とし、措置計950万円程度が示されています。
この金額も、測定本数、回数、期間、土地の状況が定められた一つの試算例です。汚染が見つかった場合に同じ措置が必要になるとは限りません。調査の範囲と、調査後に必要となる測定や措置の範囲を別々に確認してください。環境省の審議会資料を2026年9月5日に確認しています。
公開価格例を比較表にする前の確認
民間事業者の公開価格は、確認日の時点で読める価格例であり、すべての案件に当てはまる基準ではありません。価格を引用する場合も、調査範囲、課金単位、面積、地点数、時点を近くに置きます。

面積、対象範囲、確認日が異なる価格を混ぜない
ジオリゾームが公開する自主調査想定の価格例では、2026年9月5日確認時点で、表層土壌調査は東京近郊・大阪近郊の自主的な調査内容を想定した表示として、900平方メートル以内が約20〜35万円程度、1,800平方メートル以内が約45〜60万円程度とされています。地歴調査は簡易7万円から、標準15万円から、詳細28万円程度からという別の課金条件で示されています。これらは面積や作業内容が異なるため、一つの表で同じ調査として並べることはできません。ジオリゾームの公開価格例を2026年9月5日に確認しています。
同ページには税別・税込の別と価格改定時点の記載がなく、自主調査を想定した価格であることが示されています。そのため、法定調査の見積や別の調査範囲と同じ条件として扱いません。公開価格例を参照する際は、何を含む金額か、いつ確認した情報かを明記し、必要な条件をそろえてから比較します。
見積で確認する項目
見積書では合計額だけでなく、調査から報告までのどの作業を含むかを確認します。同じ名称の費目でも、地点数や成果物の有無で内容が変わるためです。

費目、成果物、行政対応、対策範囲を確認する
確認したい項目は、地歴確認、採取・掘削、分析、報告書、行政への届出や協議、追加調査の条件、測定や対策の範囲です。採取地点の増減、地下配管や地下ピットの有無、土壌を搬出する予定があるかによって、必要な作業が変わります。見積を受け取ったら、合計額だけで比較せず、前提となる土地の情報と作業内容を対応させて読みます。
法定調査に当たる場合は、指定調査機関に行わせる必要があります。任意の調査でも、その結果を何に使うかによって必要な記録や方法が変わるため、依頼前に利用目的を伝えましょう。個別の届出や調査範囲は、所在地を所管する自治体窓口や専門家へ確認してください。
よくある質問
費用の数字を比較する前に、同じ土地条件と調査範囲を比べているかを確かめることが重要です。調査と措置を一つの金額にまとめないことも、判断を誤らないためのポイントです。

土壌汚染調査の費用を一つの目安で判断できますか
判断できません。調査と措置の費用は、面積、対象物質、地点数、土地の状況、報告・協議の有無で変わります。環境省の審議会資料には、敷地約5,500平方メートルなどの前提を置いた試算例があり、2026年9月5日に確認しています。一つの金額を一般的な目安にはしません。
調査結果が出ると必ず対策費用が発生しますか
必ず発生するわけではありません。環境省の審議会資料は、累計の法に基づく調査結果について多くの場合は汚染の除去等の措置が不要と整理し、指示措置では地下水の水質の測定が多いと示しています。同資料を2026年9月5日に確認しています。個別の結果と土地利用は、自治体窓口や専門家へ確認してください。
公開価格例をそのまま見積の基準にできますか
そのままの基準にはできません。公開価格例は、調査範囲、面積、地点数、確認時点が同じ場合に限って比較の材料になります。ジオリゾームの公開価格例は自主調査を想定し、表層土壌調査の目安に東京近郊・大阪近郊という地域条件が付き、税別・税込の別と価格改定時点が記載されていないことを、2026年9月5日に確認しています。
まとめ
土壌汚染調査の費用は、調査の契機、土地条件、地点数、成果物、調査後の測定や措置を分けて確認します。公的試算例や公開価格例は、条件と確認日を添えて読む材料であり、個別案件の金額を決めるものではありません。依頼前に条件を整理し、同じ範囲で比較できる見積かを確認しましょう。
調査が必要になる入口は、土壌汚染調査が必要なケースで確認できます。費用に関する記事は、費用・相場で一覧できます。
出典
- 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)〔e-Gov法令検索〕(laws.e-gov.go.jp)
- 土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)〔e-Gov法令検索〕(laws.e-gov.go.jp)
- 環境省「土壌汚染対策法に基づく指定調査機関」(env.go.jp)
- 環境省 中央環境審議会 水環境・土壌農薬部会 土壌制度小委員会 配布資料「今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点②」(env.go.jp)
- ジオリゾーム 費用に関するよくある質問(公開価格例)(georhizome.co.jp)
著者・監修
依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表
依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。土壌汚染対策法の調査義務・費用相場・指定調査機関制度について、e-Gov・環境省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。
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