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工場閉鎖時の土壌汚染調査|法3条の確認と120日までの段取り

著者・監修: 依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

工場閉鎖時の土壌汚染調査|法3条の確認と120日までの段取り

工場を閉鎖するだけで土壌汚染調査が一律に必要になるわけではありませんが、有害物質使用特定施設を廃止する場合は、土地の所有者等に指定調査機関による調査と報告の義務が生じます。これは土壌汚染対策法3条の法定調査であり、任意の調査や、工場閉鎖そのものに伴う一般的な確認とは分けて考えます。個別の施設が有害物質使用特定施設に当たるかは、所管の自治体窓口に確認してください。

根拠・確認日: 本文で扱う土壌汚染対策法と同施行規則の現行版は、最終改正施行日が2026年7月1日です。制度の確認日は2026年9月5日であり、2026年改正の内容そのものは本記事では扱いません。土壌汚染対策法・土壌汚染対策法施行規則

工場閉鎖時に確認する土壌調査の段取り
工場閉鎖時に確認する土壌調査の段取り

工場閉鎖で最初に確認する前提

工場閉鎖時は、建物を閉じる予定と、法令上の施設の使用を廃止する事実を同じ意味で扱わないことが重要です。土壌汚染対策法3条は、有害物質使用特定施設の使用廃止を契機とする制度であり、該当する場合には調査、報告、土地利用の確認を順に進めます。

確認する場面土壌汚染調査との関係最初の確認先
工場を閉鎖する予定閉鎖だけで一律の調査義務にはならない所管の自治体窓口
有害物質使用特定施設を廃止する予定法3条の調査・報告の対象となり得る所管の自治体窓口
閉鎖後の土地利用を決める予定一時免除や形質変更の確認に関係する所管の自治体窓口

有害物質使用特定施設を廃止する場合

有害物質使用特定施設の使用を廃止したときは、その敷地であった土地の所有者等に、土壌の汚染状況を指定調査機関に調査させ、都道府県知事へ結果を報告する義務が生じます。報告の期限は、廃止日などから120日以内です。120日は調査を始める期限ではなく、調査結果を報告する期限として扱います。土壌汚染対策法第3条・同施行規則第1条(2026年9月5日確認)

環境省の公表では、令和6年度に法3条による土壌汚染状況調査結果の報告は668件、制度開始からの累計は7,155件でした。この数値は令和6年度の公表値であり、工場閉鎖件数そのものや、個別の施設が該当する割合を示すものではありません。環境省「令和6年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果について」(2026年4月23日公表、2026年9月5日確認)

閉鎖計画では、稼働停止日、設備の撤去日、使用廃止日、土地を引き渡す予定日が必ずしも同じになりません。法3条の確認では、どの日を制度上の起点として扱うかが重要になります。日付を推測で決めず、施設の状況と届出の経緯を整理して自治体窓口に確認し、調査機関へも共有します。

個別の施設該当性を断定しない

有害物質使用特定施設は、水質汚濁防止法上の特定施設で、特定有害物質を製造、使用または処理するものを指します。しかし、業種名や施設の通称だけで該当性を決めることはできません。取り扱いを届け出ている場合は、廃止時に調査の契機になるため、過去の届出や施設の状況を所管の自治体窓口で確認します。

工場内に複数の設備や敷地がある場合も、閉鎖プロジェクトの予定だけから対象範囲を決めません。どの施設の使用をいつ廃止するのか、土地の所有者等が誰か、閉鎖後に土地をどう利用する予定かを整理してから、制度上の該当性を確認します。当サイトは個別の法令判断や届出書類の作成を代行するものではありません。

有害物質使用特定施設の確認を自治体窓口へつなぐ図
有害物質使用特定施設の確認を自治体窓口へつなぐ図

閉鎖計画に組み込む進め方

法3条に当たる可能性があるときは、閉鎖日だけでなく、施設の該当確認、指定調査機関への依頼、報告までを一つの予定表に置きます。工事の着手予定日や売却予定日がある場合でも、法定調査の報告期限と混同しないことが必要です。

指定調査機関へ依頼する前に整理すること

依頼前には、土地の所在地、施設の使用を廃止する予定日、分かる範囲の土地利用の経緯、閉鎖後の利用予定を整理します。法3条の法定調査は指定調査機関に行わせるため、指定状況と業務を行う都道府県を確認した上で、調査範囲や成果物を相談します。指定調査機関の一覧に掲載されていることだけで、価格や納期、対応範囲まで判断することはできません。

調査結果を報告する相手は都道府県知事ですが、閉鎖計画の社内調整や土地の利用計画までを調査機関が一律に決めるものではありません。自治体窓口に確認する事項と、調査機関に依頼する事項を分けておくと、法令上の確認と発注条件を混同しにくくなります。

120日以内の報告を着手期限と混同しない

法3条の120日以内は、使用廃止日、通知を受けた日、または確認取消しの通知を受けた日から起算する調査結果の報告期限です。調査そのものを120日以内に開始すればよいという意味ではありません。特別の事情があると認められるときは、所有者等の申請により知事が期限を延長できる仕組みがあります。土壌汚染対策法施行規則第1条(2026年9月5日確認)

閉鎖スケジュールに余裕がない場合も、期限だけを先に約束せず、施設該当性、依頼先、必要な調査条件を確認します。調査の所要期間を一つの数字で一般化することはできません。閉鎖、解体、土地利用の各予定を分け、土壌汚染調査の要否に関する確認を早めに始めることが実務上の整理につながります。

社内の閉鎖担当、土地管理の担当、工事を計画する担当が分かれているときは、土壌汚染調査に関する確認窓口も共有します。調査機関への依頼前に、誰が資料を提供し、誰が自治体からの照会を受けるかを決めると、調査範囲や報告の確認が途中で途切れにくくなります。これは手続きの代行ではなく、必要な情報を整理するための役割分担です。

閉鎖計画の会議では、土壌汚染調査の確認事項を、設備撤去や建物解体の工程表とは別の欄に置くと整理しやすくなります。工事に関する他の法令手続きと混同せず、土壌・地下水の調査の要否、報告、次の土地利用を順番に確認します。

施設廃止から120日以内の報告までを分ける図
施設廃止から120日以内の報告までを分ける図

一時免除の確認がある土地で注意すること

使用廃止後も予定されている利用方法から健康被害のおそれがないとして、都道府県知事の確認を受ければ、法3条の調査と報告が一時的に免除されることがあります。一時免除は、調査が永続的に不要になることを意味するものではありません。

利用方法や形質変更の予定を別に確認する

一時免除の確認を受けた土地でも、利用方法の変更、確認の取消し、土地の形質変更が、調査義務を現実化させる契機になり得ます。確認に係る土地で形質変更をする場合は、面積や土壌の扱いによって事前届出が必要になることがあります。閉鎖後に売却、建替え、掘削などを予定しているときは、工場を続けて利用する場合とは別に、所管の自治体窓口へ確認します。土壌汚染対策法第3条・同施行規則(2026年9月5日確認)

閉鎖直後に利用予定が決まっていない場合も、予定が未定であることを記録します。土地利用を後から変更する可能性があるなら、誰が自治体との確認を引き継ぐかを決めておくと、権利の移転や工事計画の段階で必要な情報を探しやすくなります。

一時免除の確認を受けたことだけを、将来の売却や工事でも調査が不要である根拠として扱わないことが大切です。閉鎖後に土地を引き継ぐ人がいる場合には、確認を受けた利用方法と、今後の利用や工事の予定が変わる可能性を伝えます。予定が具体化した時点で、あらためて所管の自治体窓口に確認します。

一時免除後も土地利用の変更を確認する図
一時免除後も土地利用の変更を確認する図

発注時の確認ポイント

閉鎖時の発注では、調査範囲と調査結果の報告、閉鎖後の土地利用に関する確認を一つの見積項目だと考えないことが大切です。法定調査かどうかを先に確定し、土地の情報と予定を伝えた上で、必要な範囲を確認します。

調査範囲、報告、次の土地利用を分ける

調査機関へは、法3条の確認状況、施設の使用廃止予定日、調査結果の利用目的、閉鎖後の土地利用の見通しを伝えます。報告書の作成や行政との協議がどこまで依頼範囲に含まれるか、追加の確認が必要になった場合に誰が対応するかも分けて確認します。

価格だけで依頼先を比較せず、指定調査機関が必要な法定調査か、どの範囲を調査対象にするか、成果物と期限をどう置くかをそろえます。閉鎖に関わる建設リサイクル法の届出や石綿の事前調査は別の手続きであり、ここでは土壌・地下水の汚染調査の要否に限定して確認します。

閉鎖時の発注条件を調査範囲と報告に分ける図
閉鎖時の発注条件を調査範囲と報告に分ける図

よくある質問

すべての工場閉鎖で調査が必要ですか

一律ではありません。有害物質使用特定施設の使用を廃止する場合に、法3条の調査と報告が問題になります。個別の施設が該当するかは、業種名だけで判断せず、所管の自治体窓口に確認します。土壌汚染対策法第3条(2026年9月5日確認)

120日は何の期限ですか

120日は、法3条に基づく調査結果を都道府県知事へ報告する期限です。使用廃止日などから起算し、調査の着手期限とは異なります。特別の事情があると認められる場合には、知事が期限を延長できる仕組みがあります。土壌汚染対策法施行規則第1条(2026年9月5日確認)

工場を続けて使う場合も確認が必要ですか

土地の利用方法から健康被害のおそれがないことについて、都道府県知事の確認を受ける仕組みがあります。確認を受けた土地でも、利用方法の変更や形質変更では別の確認が必要になり得ます。個別の可否は所管の自治体窓口に確認してください。土壌汚染対策法第3条(2026年9月5日確認)

まとめ

工場閉鎖時の土壌汚染調査は、有害物質使用特定施設の使用廃止に当たるかを最初に確認し、法3条の法定調査に当たる場合は指定調査機関への依頼と120日以内の報告を計画に組み込みます。一時免除の確認がある土地でも、利用方法や形質変更の予定は別に確認します。

調査義務の入口は土壌汚染調査が必要なケース、形質変更時の届出は土壌汚染対策法4条の届出、進め方全体は土壌汚染調査の流れで整理できます。あわせてシーン・事例カテゴリもご覧ください。

出典

著者・監修

依田尚人YDAIコンサルティング株式会社 代表

依田尚人は YDAIコンサルティング株式会社 代表。土壌汚染対策法の調査義務・費用相場・指定調査機関制度について、e-Gov・環境省等の公開情報を一次ソースまで確認する工程を標準として、本サイトの記事を設計・監修しています。

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