土壌汚染の対策費用|措置が必要かを調査結果後に確認する
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
土壌汚染の調査結果が出ても、直ちに高額な浄化が必要と決まるわけではなく、区域指定、健康被害のおそれ、必要な措置を分けて確認します。調査、区域指定、措置、費用を一つの出来事として扱わず、調査結果の後に何を確認するかを順番に整理することが大切です。
調査の入口では、法定調査と任意の調査を区別します。法第3条第1項・第8項、第4条第2項・第3項、第5条第1項に基づく法定の調査は指定調査機関に行わせる必要があります。法の調査契機に当たらない任意の調査には法律上の実施主体の限定は置かれていませんが、法第14条の区域指定申請を考える場合は、知事が公正かつ法第3条第1項の環境省令で定める方法により行われた調査と認めることが要件です。
調査結果後に分けて確認すること
調査結果の後は、まず区域指定の有無と、土地の利用に関わる手続を確認します。その上で、必要な措置と費用を別に考えます。
同じ「対策費用」という言葉でも、調査の完了前に予測する費用と、区域指定や指示の後に確認する費用では前提が異なります。調査結果、公示、土地利用の予定を同じ時点の情報として並べず、どの判断の後に必要になる確認かを区別します。
| 確認する段階 | 分けて確認する内容 |
|---|---|
| 調査結果 | 何の調査で、どの範囲を確認した結果か |
| 区域指定 | 健康被害のおそれに関する要件と区域の種類 |
| 土地利用 | 形質変更の可否、届出、計画の扱い |
| 措置・測定 | 指示された措置や地下水の水質の測定 |
| 費用 | 特定の条件を置いた試算例か、個別の確認事項か |

区域指定と健康被害のおそれ
土壌汚染状況調査の結果、基準に適合しない汚染が確認された土地は、人の健康に係る被害が生じ、または生ずるおそれの要件に当たるかで、要措置区域と形質変更時要届出区域に分かれます。要措置区域は、基準不適合と健康被害のおそれの両方に当たる区域です。形質変更時要届出区域は、汚染はあるものの健康被害のおそれの要件に当たらない区域です。
区域指定は公示によって効力を生じます。令和6年度(2024年度)の指定は合計661件で、その内訳は要措置区域83件、形質変更時要届出区域578件でした。出典は環境省「令和6年度 土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果について」、公表日2026年4月23日、確認日2026年9月5日です。個別の区域指定は、所管の自治体窓口と公示を確認してください。
要措置区域と形質変更時要届出区域
要措置区域では、原則として何人も土地の形質変更を行えません。知事は必要な汚染除去等の措置、理由、期限を示して、汚染除去等計画の作成・提出を指示します。計画を提出した後は、原則として30日を経過するまで実施措置に着手できません。
形質変更時要届出区域では、形質変更をしようとする者が、原則として着手日の14日前までに届け出ます。届出を受けた知事は14日以内に限り、施行方法の計画変更を命じることができます。どちらの区域も、土地が使えなくなることを一律に意味するものではありません。根拠は土壌汚染対策法と土壌汚染対策法施行規則、確認日は2026年9月5日です。

公的統計から確認できること
公的統計は、調査結果が直ちに汚染の除去等の措置を意味するわけではないことを確認する材料です。統計の対象範囲と集計期間を示した上で読みます。
多くの場合は汚染の除去等の措置は不要という整理
環境省の審議会資料では、平成22年度からの累計で報告された法に基づく土壌汚染状況調査結果13,974件のうち、区域指定に至らなかった件数と形質変更時要届出区域に指定された件数の合計は12,964件と整理されています。同資料は、多くの場合は汚染の除去等の措置は不要としています。
この集計は、すべての土地で同じ措置が不要になるという意味ではありません。調査の範囲、区域指定、健康被害のおそれ、土地利用、行政上の指示を個別に確認する必要があります。出典は環境省の審議会資料、確認日は2026年9月5日です。
指示措置のうち地下水の水質の測定が占める割合
地下水の水質の測定は、地下水の状態を確認する措置です。環境省の審議会資料では、累計の指示措置1,019件のうち、地下水の水質の測定は739件、73%と整理されています(環境省の審議会資料、確認日2026年9月5日)。措置が必要な場合にも、地下水の水質の測定が多いという集計です。
73%という割合を、個別の土地で必要となる措置の予測には使いません。指示される措置は、区域指定や土地の状況によって異なります。数字を示す際は、累計の指示措置を対象にした集計であることと、出典・確認日を併せて示します。

費用試算例を読む時の条件
対策に関する費用は、一般的な価格帯としてではなく、条件付きの試算例として確認します。調査の費用と措置の費用も、同じ意味にしません。
措置950万円程度の試算例を一般化しない
措置950万円程度は、敷地面積約5,500平方メートル、トリクロロエチレンと鉛を使用し、地下ピットから排水処理施設まで地下配管があり、両物質とも全部対象区画の一部で基準不適合となり、それぞれ一地点で地下水の水質の測定を実施する前提の公的試算例です。
この試算例では、地下水の水質の測定を観測井戸2本で年4回、5年間行うことを置き、観測井戸の設置、パージ・採水、分析、報告・協議等を含めて計950万円程度としています。資料自身は、調査や措置の費用は諸条件によって変わるため、一例として試算した概算であると注記しています。出典は環境省の審議会資料、確認日は2026年9月5日です。
この例に含まれる観測井戸、採水、分析、報告・協議の回数や期間が異なれば、同じような名称の措置でも前提は変わります。個別案件の見積では、どの測定を何回行う想定か、どの期間の報告を含むかを分けて確認します。
費用を確認する際は、調査段階ですでに実施した作業と、区域指定後に確認する可能性がある作業を同じ対象として扱わないことも重要です。結果の範囲、土地利用の予定、行政との確認状況を分けることで、費用を確認する時点を誤りにくくなります。

次に確認する事項
調査結果の後に確認する事項は、土地利用、計画、行政上の手続を分けて整理します。費用の結論を急ぐより、どの段階の確認が必要かを明確にします。
土地利用、計画、行政上の手続を分ける
土地の形質変更を予定する場合は、区域の種類と届出・計画の要否を確認します。要措置区域での実施措置と、形質変更時要届出区域での届出は別の仕組みです。工事の予定、土地売買、次の利用方法がある場合も、土壌汚染調査の要否と結果後の手続に主語を置いて整理します。
措置に要した費用については、法第8条に一定の請求の仕組みがあります。土地の所有者等が実施措置を講じ、汚染が所有者等以外の者の行為による場合に、指示措置に要する費用を上限として請求できる規定です。一方、調査費用の請求を認める規定は法にありません。個別の請求や契約の判断は専門家へ確認してください。
要措置区域と形質変更時要届出区域の違いでは区域の意味を、土地売買・M&A時の土壌汚染調査では取引目的の調査を整理しています。土壌汚染調査の費用の全体像、費用が変わる要因、相見積で条件をそろえる方法も、費用の前提を確認する際に参照できます。

まとめ
調査結果が出た後は、区域指定、健康被害のおそれ、土地利用、措置、費用を分けて確認します。公的統計は、調査が直ちに高額な浄化を意味しないことを示す材料ですが、個別の措置を決めるものではありません。費用試算例は前提を残し、個別の法令判断や請求は自治体窓口や専門家へ確認しましょう。
費用・相場カテゴリでは、調査費用の条件と見積の比較方法を整理しています。
よくある質問
- Q. 汚染が見つかると必ず浄化が必要ですか
- 調査結果、区域指定、健康被害のおそれ、措置は分けて確認します。環境省の審議会資料では、累計の法に基づく調査結果について多くの場合は汚染の除去等の措置は不要と整理されています。対象は累計13,974件の調査結果で、出典は環境省の審議会資料、確認日は2026年9月5日です。
- Q. 地下水の水質の測定とは何ですか
- 地下水の水質の測定は、地下水の状態を確認する措置です。環境省の審議会資料では、累計の指示措置1,019件のうち739件、73%が地下水の水質の測定と整理されています。個別にどの措置が必要かは、区域指定や行政上の指示を確認します。出典は環境省の審議会資料、確認日は2026年9月5日です。
- Q. 対策費用を原因者へ請求できますか
- 土壌汚染対策法第8条は、一定の措置費用について請求の仕組みを定めています。一方、調査費用の請求を認める規定は法にありません。個別の請求は、契約当事者間の取り決めと専門家の判断によります。根拠は土壌汚染対策法、確認日は2026年9月5日です。
出典
- 1.土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)〔e-Gov法令検索〕(laws.e-gov.go.jp)
- 2.土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)〔e-Gov法令検索〕(laws.e-gov.go.jp)
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