法令・制度解説

有害物質使用特定施設を廃止したときの120日|報告期限と確認事項

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

有害物質使用特定施設の使用を廃止したときは、土壌汚染対策法第3条第1項の対象かを確認し、廃止日などから120日以内に調査結果を報告する流れを組みます。これは法定の調査契機に基づく手続であり、該当する場合の調査は指定調査機関に行わせる必要があります。土地利用の検討のために行う調査とは、制度上の位置づけを分けて整理しましょう。

土壌汚染対策法は最終改正施行日が2026年7月1日であり、本文の条文は2026年9月5日に確認しています。使用を廃止した日だけで結論を急がず、対象となる土地、所有者等、調査結果を報告するまでの順を確認することが大切です。

使用廃止で確認する法3条の対象

法第3条第1項は、有害物質使用特定施設の使用が廃止された場面で、敷地であった土地の所有者等に調査と結果報告を求める仕組みです。有害物質使用特定施設は水質汚濁防止法上の特定施設に関わる定義を含むため、個別の施設が当たるかは所在地を所管する都道府県・政令市の土壌汚染対策法担当窓口で確認します。

使用廃止日から調査結果の報告までを整理する手続き図
使用廃止日から調査結果の報告までを整理する手続き図
確認する事項整理する内容
きっかけ有害物質使用特定施設の使用を廃止した事実
関係する人敷地であった土地の所有者等
調査指定調査機関に行わせる土壌汚染状況調査
報告先都道府県知事
期限廃止日などから120日以内

土地と所有者等を先に結び付ける

手続の出発点は、施設の使用廃止と、その施設に係る工場・事業場の敷地であった土地を対応させることです。第3条第1項は土地の所有者、管理者、占有者を対象に含めるため、社内の施設担当だけで報告の役割を決めず、土地に関する情報も同時に整理します。所有関係に事情があるときは、登記や契約の有効性を記事だけで判断せず、関係資料をそろえて所管窓口へ確認するのが安全です。

指定調査機関による調査が法定手続になる

第3条第1項本文の調査は、環境大臣又は都道府県知事が指定する者、すなわち指定調査機関に行わせる法定の調査です。調査の依頼先を決めるときは、予定する土地、使用廃止の事実、報告期限を伝え、調査結果の報告に必要な情報を確認します。調査の内容や施設該当性を推測で決めず、土壌汚染調査が必要なケースも参照しながら、法定の契機を切り分けます。

120日を報告期限として工程に置く

120日は調査を始める期限ではなく、調査結果を都道府県知事へ報告する期限です。土壌汚染対策法施行規則第1条は、使用廃止日、通知を受けた日、確認取消しの通知を受けた日から起算して120日以内と定めています。工程表には、調査の準備だけでなく、結果を整理して報告するまでを入れます。

120日以内の報告期限を工程表に置く図
120日以内の報告期限を工程表に置く図

起算日と予定を同じ表で確認する

使用廃止の記録、関係する通知の有無、土地の所在地を一つの一覧にまとめると、誰がいつの事実を確認したかを共有しやすくなります。120日を単に日数として数えるのではなく、報告に必要となる調査結果と土地情報をいつそろえるかまで見通します。特別の事情がある場合には、所有者等の申請により期限が延長される仕組みもあるため、期限内の報告が難しくなりそうな事情は早めに所管窓口へ伝えます。

報告用の情報を調査前からそろえる

施行規則には、報告書に調査を行った指定調査機関や技術管理者、分析結果に関する情報を記載することが定められています。報告の直前に情報を集めるのではなく、調査の開始時点で確認項目を共有すると、手戻りを抑えやすくなります。見積比較を検討する際も、金額だけでなく法定手続に必要な情報が整理できるかを、土壌汚染調査の費用は何で変わる?と併せて確認します。

一時免除の確認がある場合の見方

予定されている土地利用から健康被害が生ずるおそれがないとして都道府県知事の確認を受けた場合、第3条第1項ただし書により調査と報告を一時的に免除されることがあります。一時免除は土地の状況を問わず調査が不要になる制度ではなく、利用方法の変更や形質変更で確認事項が生じます。

一時免除の確認と土地利用の変更を分けて示す図
一時免除の確認と土地利用の変更を分けて示す図

確認を受けた土地利用を記録する

一時免除の確認は、予定される利用方法に基づくものです。確認の対象となった土地の範囲、利用の予定、確認に関する書類を残し、土地の使い方が変わる見込みがあるときに見直せるようにします。売却、造成、建築などの予定が生じた場合も、行為の該当性を一般論で断定せず、土地の状況と計画を所管窓口へ示して確認します。

形質変更では別の届出が関係する

確認に係る土地で形質変更をし、又はさせるときは、第3条第7項の事前届出と第8項の調査命令が関係します。一定の届出を受けた知事は、指定調査機関に調査させて結果を報告すべき旨を命ずることになります。施設廃止時の120日報告と、土地の形質変更時の手続を同じ工程として扱わず、土地利用の変更に応じて確認を更新しましょう。

法定の調査と利用検討の調査を分ける

法第3条第1項の対象となる場合は、指定調査機関による調査と結果報告が制度上求められます。一方で、土地の取得、賃貸、再利用を検討するために情報を集める調査には別の目的があります。目的が異なる調査を同じ言葉で扱うと、誰が何を報告するかが分かりにくくなります。

法定の調査と土地利用の検討を分ける整理図
法定の調査と土地利用の検討を分ける整理図

法定の契機に当たるときの進め方

使用廃止が第3条第1項に関係する場合は、土地情報と起算日を整理し、指定調査機関に調査させて結果を報告する流れを優先します。担当者の交代や土地利用計画の検討があっても、報告期限の管理を別紙にせず、同じ工程表で確認すると漏れを防ぎやすくなります。法令の根拠は土壌汚染対策法第3条と同施行規則第1条です。

利用検討の情報は目的を明確にする

法定の契機に当たらない段階でも、土地利用の検討のために過去の利用状況や地形を確認することはあります。ただし、その調査の結果をどの制度に用いるかは目的によって変わります。法第14条の区域指定申請を検討する場合には、実施主体の限定がないことと、法定の方法で行われた調査であることが指定の条件になるため、両方を併せて確認します。

まとめ

有害物質使用特定施設の使用廃止では、第3条第1項の対象を確認し、指定調査機関による調査結果を120日以内に報告する工程を整えます。一時免除の確認がある土地や、後に形質変更を予定する土地では、別の手続がつながるため、土地利用の予定を更新した時点で確認をやり直すことが重要です。

使用廃止後に土地の形質変更も予定する場合は、土壌汚染対策法4条の届出との違いを確認し、二つの手続を同じ期限として扱わないようにします。工事の内容、土地の範囲、着手予定日が変わったときは、以前の整理をそのまま使わず、変更後の情報で所管窓口に確認します。

調査の契機は土壌汚染調査が必要なケース、見積条件の整理は土壌汚染調査の費用は何で変わる?、関連する制度は法令・制度解説で確認できます。

よくある質問

Q. 120日以内に何を報告しますか
第3条第1項に基づく土壌汚染状況調査の結果を都道府県知事へ報告します。120日は使用廃止日などから起算する報告期限であり、調査を始める期限ではありません。土地の範囲、所有者等、調査を行った指定調査機関の情報を整理し、個別の報告様式や添付資料は所在地を所管する窓口の案内で確認します。
Q. 使用廃止日が不明なときはどうしますか
使用廃止日が記録上はっきりしない場合は、設備記録、届出の控え、社内の決裁資料など、確認できる事実を整理します。そのうえで、いつを起算日と扱うかを所管窓口へ相談します。推測した日付で期限を組むよりも、確認に使った資料と未確認の点を区別して伝えると、必要な照会を進めやすくなります。
Q. 調査は誰に依頼しますか
法第3条第1項の法定調査では、指定調査機関に調査を行わせます。依頼時には、使用廃止の事実、土地の所在地、報告期限、関係する土地の範囲を共有します。指定調査機関の制度や更新の考え方は、指定情報を確認したうえで、各機関へ予定する調査の対応可否を確認する流れが基本です。
Q. 工場を閉めるだけでも確認が必要ですか
工場を閉める予定だけで直ちに第3条の対象かを断定することはできません。ポイントは、有害物質使用特定施設の使用が廃止されたか、その施設に係る敷地であった土地と所有者等がどう整理されるかです。施設の該当性は水質汚濁防止法上の確認を含むため、都道府県・政令市の担当窓口へ計画と土地の情報を示して確認します。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    土壌汚染対策法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    土壌汚染対策法施行規則(laws.e-gov.go.jp)