選び方・比較

土壌が基準不適合だったら?調査結果後の手続きの流れ

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

土壌の調査結果が基準に適合しない場合は、対策方法を先に決めず、土壌汚染対策法に基づく区域指定の制度上の分岐と、次に確認する情報を整理します。法定の調査契機に基づく調査は指定調査機関による調査であり、土地利用の検討として行う調査とは位置づけが異なります。

結果が出た直後は不安になりやすいものですが、要措置区域と形質変更時要届出区域では関係する手続が異なります。土壌汚染対策法は最終改正施行日が2026年7月1日であり、本文の条文と環境省資料は2026年9月5日に確認しています。

基準不適合の結果を受けた後の全体像

法第6条は、調査の結果、汚染状態が基準に適合しない場合に、健康被害が生ずるおそれの有無に応じて要措置区域または形質変更時要届出区域を指定する仕組みです。調査結果だけから区域や必要な措置を予測せず、区域指定に関する通知と土地の情報を確認します。

調査結果から区域指定までの全体像を示す図
調査結果から区域指定までの全体像を示す図
確認する段階整理する内容
調査結果基準への適合状況と対象地
区域指定要措置区域または形質変更時要届出区域
要措置区域指示、汚染除去等計画、形質変更の規定
形質変更時要届出区域届出と施行方法に関する確認
次の行動通知、土地情報、工程の更新

調査結果と区域指定を分ける

調査結果が基準に適合しないことと、どの区域に指定されるかは同じ判断ではありません。第6条では健康被害が生ずるおそれの有無により、要措置区域または形質変更時要届出区域を指定します。結果を受け取った時点では、調査対象の土地の範囲、調査の根拠、結果の資料、行政からの通知を整理し、区域指定の内容を確認します。

環境省資料が示す制度上の整理

環境省の審議会資料は、平成22年度からの累計で報告された土壌汚染状況調査結果13,974件のうち、区域指定に至らなかった件数と形質変更時要届出区域に指定された件数の合計を12,964件と示し、多くの場合は汚染の除去等の措置は不要と整理しています。これは個別の土地で措置が不要と判断する材料ではなく、結果後の手続を落ち着いて確認するための制度資料です。

最初に整理する情報

結果を受けた後は、調査結果の対象地、調査が行われた根拠、現在の土地利用、今後の工事や売却などの予定を分けて整理します。結果の表だけを見て対策や工事の可否を決めず、どの土地のどの範囲を対象にした調査かを確認します。

調査結果後に整理する土地情報と工程を示す図
調査結果後に整理する土地情報と工程を示す図

調査結果の位置づけを確認する

調査が法第3条、第4条、第5条などの法定の契機に基づくものか、法第14条の申請を検討するためのものかで、結果の扱いが異なります。法定の調査契機に基づく調査では指定調査機関に行わせることが定められています。調査報告書の名称だけで判断せず、依頼の目的、根拠条文、提出先を確認して、結果をどの手続に使うのかを整理します。

土地利用と工程を別に管理する

土地利用の予定、工事の工程、調査結果に関する通知を一つの結論にまとめないようにします。工事の予定がある場合は、区域指定の内容と対象地を図面で照合し、変更した範囲を明確にします。売買や契約に関する責任、土地利用の可否は個別の事情によるため、調査結果から記事だけで判断せず、所管窓口と必要な専門家に確認します。

区域指定後に変わる確認事項

要措置区域では、知事の指示、汚染除去等計画、形質変更に関する規定が関係します。形質変更時要届出区域では、土地の形質変更を予定する場合の届出と施行方法に関する確認が関係します。区域名を確認したら、次の手続を同じものとして扱わず、別の工程に分けます。

二つの区域指定後の確認事項を分ける図
二つの区域指定後の確認事項を分ける図

要措置区域が関係する場合

要措置区域では、第7条の指示と汚染除去等計画、第9条の形質変更に関する規定を確認します。知事からの通知、区域図、土地の範囲、予定作業を照合し、計画提出や実施措置の工程を整理します。特定の措置方法を結果だけから選ぶのではなく、指示の内容に沿って必要な確認を進めます。手続の入口は土壌汚染調査が必要になる主なケースで確認できます。

形質変更時要届出区域が関係する場合

形質変更時要届出区域では、第12条の届出と届出後の施行方法に関する制度を確認します。工事を予定する場合は、区域図と予定作業を照合し、届出の担当と着手前の確認を工程表に置きます。区域内の個別工事がどの扱いになるかは、図面と土地情報を所管窓口へ示して確認します。土地の形質変更に関する入口は土壌汚染対策法4条と届出の基本を参照できます。

対策を急いで決めないための見方

基準不適合の結果を受けたときは、対策の名称や工事内容を先に決めるより、区域指定と通知の内容を確認することが出発点です。出典:sources欄の環境省資料は、指示措置の累計1,019件のうち739件、すなわち73%が地下水の水質の測定であると示しています。この数値は区域数ではなく、複数の措置が指示されることがある措置件数ベースの累計です。

結果後に確認する順序と措置件数の見方を示す図
結果後に確認する順序と措置件数の見方を示す図

指定結果を予測しない

調査結果が基準に適合しない場合でも、区域指定や知事からの指示は、土地の状況と制度上の判断に基づいて確認します。調査結果の一部だけから、要措置区域になる、工事ができない、特定の措置が必要になると決めつけません。結果の対象地、通知、区域図、土地利用の予定を整理し、未確認の点は所在地を所管する窓口へ相談します。

法定調査と利用検討を区別する

法定の調査契機に基づく調査と、土地利用の検討のための調査は、目的と結果の使い方が異なります。法第14条の申請を検討する調査では、実施主体の限定が置かれていませんが、指定を受けるには公正かつ法定の方法で行われた調査と認められることが必要です。調査の目的を確認してから、次の手続を決めます。

結果を受け取った担当者は、報告書の対象地、区域指定の通知、区域図、今後の工事予定を一緒に確認します。報告書に記載された数値や地図だけから、区域の種類や必要な対応を確定しません。予定している土地の形質変更がある場合は、対象地と工程を早めに所管窓口へ示し、届出の要否を確認します。形質変更の入口は、土壌汚染対策法4条と届出の基本、結果後の資料整理は土壌汚染調査の結果で最初に確認することも参照できます。

まとめ

土壌が基準に適合しない結果を受けた後は、調査結果から対策を先に決めず、第6条の区域指定とその後の手続を確認します。要措置区域と形質変更時要届出区域では関係する制度が異なるため、通知、区域図、土地利用の予定を整理して、次の工程を組みましょう。

要措置区域の基本を確認するときは、土壌汚染調査が必要になる主なケース、土地の形質変更に関する入口は土壌汚染対策法4条と届出の基本、関連する記事は選び方・比較で確認できます。

よくある質問

Q. 基準不適合なら必ず工事を止めますか
調査結果が基準に適合しないことだけから、個別の工事を必ず止めると判断することはできません。第6条に基づく区域指定の内容、知事からの通知、予定作業、土地の範囲を確認します。要措置区域と形質変更時要届出区域では関係する手続が異なるため、結果を受け取った後に区域指定の情報を確認して工程を整理します。
Q. 要措置区域と形質変更時要届出区域はどう違いますか
要措置区域は健康被害が生ずるおそれがあると認められる土地について指定され、指示、汚染除去等計画、形質変更に関する規定が関係します。形質変更時要届出区域では、土地の形質変更を予定する場合の届出と施行方法に関する確認が関係します。個別の土地は区域図と通知を確認して所管窓口へ相談します。
Q. すぐに対策方法を決める必要がありますか
結果が出た直後には、まず調査対象地、調査の根拠、区域指定の通知、土地利用の予定を整理します。対策方法は、区域指定や知事の指示と関係するため、結果だけから先に決めません。環境省資料が多くの場合は措置不要と整理していることも踏まえ、個別の土地については通知と所管窓口の案内に沿って確認します。
Q. 個別の土地は誰に確認しますか
区域指定、汚染除去等計画、形質変更に関する取扱いは、土地の所在地を所管する都道府県・政令市の土壌汚染対策法担当窓口へ確認します。相談時には、調査結果、対象地を示す図面、行政からの通知、土地利用や工事の予定を用意します。契約や責任に関する判断は、関係する専門家にも相談します。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    土壌汚染対策法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.