法令・制度解説

法14条による区域指定の申請|自主調査の結果を使う条件

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

土壌汚染対策法第14条は、法定の調査契機に当たらない土地について、所有者等が調査結果をもとに区域指定を申請できる仕組みです。第14条の申請に係る調査は実施主体の限定が置かれていませんが、知事が指定するには公正かつ法定の方法で行われた調査と認められることが必要です。この二つをセットで確認します。

第3条、第4条第2項・第3項、第5条の法定の調査では指定調査機関に調査させることが定められています。法第14条の申請はそれらと異なる入口のため、土地、調査、申請、指定を同じ手続として扱わないようにします。土壌汚染対策法と同施行規則は最終改正施行日が2026年7月1日であり、本文の条文は2026年9月5日に確認しています。

法14条による区域指定申請の位置

第14条第1項は、法の調査の対象となる土地の基準に当たらない土地について、所有者等が調査した結果、汚染状態が基準に適合しないと思料するときの申請を定めています。調査結果があれば常に区域指定を受けられる制度ではなく、対象となる土地、所有者等の合意、調査の方法を確認します。

法14条の調査結果から区域指定申請までの図
法14条の調査結果から区域指定申請までの図
確認する段階整理する内容
土地法定の調査契機に当たらない土地か
調査汚染状態に関する調査結果
所有者等他の所有者等がいる場合の全員の合意
申請区域指定を求める申請
指定公正かつ法定の方法で行われた調査の確認

法定の調査契機との違いを確認する

第14条の申請は、第3条、第4条、第5条のように、使用廃止、届出後の命令、健康被害のおそれに関する命令を起点とする調査とは異なります。どの制度に結果を使うかを確認せず、単に自主調査と呼ぶと、必要な資料や申請の条件が見えにくくなります。調査の契機は土壌汚染調査が必要なケースで整理できます。

対象となる土地を資料で整理する

申請を検討するときは、土地の所在地、調査対象の範囲、過去の届出や命令の有無、所有者等に関する情報を整理します。個別の土地が申請の対象になるかは、調査結果だけで断定せず、法定の調査契機に関する資料とともに確認します。土地の権利関係や調査結果の評価は、必要に応じて専門家と所管窓口へ相談します。

申請前に確認する条件

第14条の申請では、申請に係る土地に他の所有者等がいるとき、あらかじめ全員の合意が必要です。また、知事が区域指定を行うには、申請に係る調査が公正かつ法定の方法で行われたと認められることが必要です。どちらか一方だけで申請の条件を満たすわけではありません。

全員の合意と法定の方法要件を示す図
全員の合意と法定の方法要件を示す図

所有者等全員の合意を確認する

他の所有者等がいる場合には、申請前に全員の合意を確認します。調査を始めた人、申請書を準備する人、土地を所有・管理・占有する人が同じとは限らないため、土地の範囲と関係する人を対応させます。同意の対象や権利関係の個別判断は、登記などの資料をそろえ、必要な専門家と所管窓口へ確認します。

方法要件を実施主体と切り離さない

第14条の申請に係る調査については、指定調査機関に行わせるという実施主体の限定が置かれていません。ただし、知事が指定するには、公正かつ法第3条第1項の環境省令で定める方法により行われた調査と認められることが必要です。実施した人だけ、調査方法だけを見るのではなく、申請に使う調査として両方を確認します。

調査結果から申請までの整理

調査結果を受け取ったら、対象地、調査に用いた情報、採取・分析に関する記録、所有者等の合意、申請に必要な資料を順に整理します。結果が基準に適合しないと思料したことと、知事による区域指定は同じ結論ではありません。申請前に資料をそろえ、指定の結果を予測しないようにします。

調査結果から申請資料を整理する順序図
調査結果から申請資料を整理する順序図

調査結果の対象地を明確にする

調査結果を申請に使う場合は、結果がどの土地のどの範囲を対象にしたものかを確認します。土地利用計画や工事図面に別の範囲がある場合は、調査対象地と混同しないようにします。結果の内容を一部だけ取り出して土地全体の結論とせず、調査記録と土地情報を対応させ、必要な追加確認は所管窓口へ相談します。

区域指定の結果を予測しない

第14条第3項では、知事が調査を公正かつ法定の方法で行われたものと認めるとき、区域指定をすることができます。申請を準備する段階で、指定される区域やその後の土地利用を決めつけません。知事からの通知、区域図、土地利用の予定を確認してから、必要な手続を工程に反映します。

法定調査との区別を保つ

第14条の申請に係る調査は、法定の調査契機に基づく調査とは入口が異なります。第3条、第4条第2項・第3項、第5条で関係する法定調査は指定調査機関に行わせるものです。調査の目的、実施主体、方法要件、結果の使い方を分けて整理します。

法14条の申請と法定調査を比較する図
法14条の申請と法定調査を比較する図

実施主体の限定がないことの意味

第14条の申請に係る調査には、指定調査機関に行わせるという限定は置かれていません。この点だけを取り出して、どのような調査でも同じように申請へ使えると考えないことが大切です。知事が指定するための方法要件、土地所有者等の合意、申請の対象となる土地を同時に確認します。

法定の方法要件を確認する

法第14条第3項の方法要件は、申請に使う調査の位置づけを確認するポイントです。調査の計画や結果を整理するときは、申請に係る調査を行った者、調査対象物質、採取地点と日時、分析結果など、申請書に関係する資料を確認します。細かな書類の作成方法は、所管窓口の案内に沿って進めます。

申請を準備する資料は、調査の対象地、調査結果、調査方法、申請する土地の範囲を対応させて保管します。測定や図面の情報を別々に受け取った場合も、作成日と対象地を確認し、同じ申請に関する資料かを整理します。法定調査ではないことだけを理由に方法要件を省略せず、所管窓口に申請前の確認事項を相談します。調査結果を受けた後の確認順序は、土壌汚染調査の結果で最初に確認することも参考になります。

調査結果の整理では、対象地の範囲、採取地点などの記録、結果の作成日を対応させます。資料の不足や対象地のずれがあるときは、申請書の提出を急ぐのではなく、調査を行った側と所管窓口に確認します。土地所有者等が複数いる場合は、同意の要否も含めて申請前に資料を整理します。

まとめ

法14条の区域指定申請では、対象となる土地、所有者等全員の合意、調査結果、公正かつ法定の方法要件を確認します。実施主体の限定がないことと方法要件は必ずセットで考え、法定調査と同じ手続として扱わないことが重要です。個別の土地は資料をそろえて所管窓口へ確認しましょう。

法定調査の契機は土壌汚染調査が必要なケース、第4条の届出は土壌汚染対策法4条の届出、関連する制度は法令・制度解説で確認できます。

よくある質問

Q. 自主調査なら誰でも申請できますか
法第14条の申請に係る調査には実施主体の限定が置かれていませんが、申請できるのは所有者等であり、他の所有者等がいる場合は全員の合意が必要です。また、知事が指定するには公正かつ法定の方法で行われた調査と認められることが必要です。調査を行った人だけで条件を判断せず、土地と方法を併せて確認します。
Q. 調査結果があれば必ず指定されますか
調査結果があることだけで、必ず区域指定されるわけではありません。第14条では、対象となる土地、申請、全員の合意、調査が公正かつ法定の方法で行われたことの確認が関係します。調査結果から指定の結果を予測せず、申請に必要な資料をそろえて所管窓口へ確認します。
Q. 指定調査機関は必要ですか
第14条の申請に係る調査には、指定調査機関に行わせるという実施主体の限定は置かれていません。ただし、知事が指定するには法定の方法で行われた調査と認められることが必要です。第3条、第4条、第5条の法定調査とは異なるため、依頼前に申請の目的と方法要件を確認します。
Q. 法4条の結果提出と同じですか
第4条第2項は届出に併せて、土地所有者等全員の同意を得て指定調査機関に調査させた結果を提出する制度です。第14条は、法定の調査契機に当たらない土地について区域指定を申請する制度です。調査の入口、実施主体、結果の使い方が異なるため、同じ提出として扱わないようにします。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    土壌汚染対策法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    土壌汚染対策法施行規則(laws.e-gov.go.jp)