法令・制度解説

土壌汚染対策法3条の一時免除とは|確認後に変わる手続き

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

8分
目次

土壌汚染対策法第3条の一時免除は、使用を廃止した有害物質使用特定施設に係る土地について、都道府県知事の確認を受けて調査と結果報告を一時的に免除する仕組みです。第3条第1項の法定調査に当たる場合は指定調査機関に調査させる必要があり、土地利用の検討のための調査とは制度上の役割が異なります。

一時免除を受けた後も、土地の利用方法が変わるときや形質変更を予定するときには確認事項が生じます。土壌汚染対策法と同施行規則は最終改正施行日が2026年7月1日であり、本文の条文は2026年9月5日に確認しています。

一時免除が意味すること

第3条第1項ただし書は、予定されている土地の利用方法から土壌汚染による人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨について、都道府県知事の確認を受けた場合を定めています。使用廃止の事実があっても、確認を受ければ直ちに調査結果を報告する流れとは別の扱いになります。

一時免除の確認と土地利用の予定を整理する図
一時免除の確認と土地利用の予定を整理する図
整理する段階主な確認事項
使用廃止有害物質使用特定施設の使用を廃止した事実
確認の申請予定する土地利用と対象となる土地
知事の確認一時免除の前提となる確認
確認後土地利用の変更や形質変更の予定
見直し変更した土地利用に応じた手続き

永久に調査が不要になる制度ではない

一時免除は、確認時の利用方法を前提にした制度です。確認を受けた土地を将来どのように使うかが変われば、確認時と同じ前提で扱えるとは限りません。土地の取得、売却、建築、造成などの予定を聞いた段階で、使用廃止時の記録や確認書類を確認し、計画が変わった部分を明らかにしておくと次の相談につながります。

確認の対象と土地利用を対応させる

確認を求める際には、土地の場所と予定する利用方法を対応させます。施設の種類や個々の土地が確認要件に当たるかは、単語だけでは判断できません。社内で土地利用の予定を整理したうえで、所在地を所管する都道府県・政令市の土壌汚染対策法担当窓口へ確認します。第3条の調査義務そのものは、土壌汚染調査が必要なケースでも確認できます。

確認前にそろえる土地情報

一時免除を検討するときは、使用廃止の事実だけでなく、対象地の範囲、現時点の利用、今後の利用計画を並べて確認します。所有者等の情報、利用に関する社内資料、過去の届出や通知が分かれていると、確認する土地の範囲がずれるおそれがあります。

土地の範囲と予定利用を照合する確認図
土地の範囲と予定利用を照合する確認図

予定利用を時点ごとに記録する

予定利用は、将来の計画を断定するための資料ではなく、確認時点の土地の使い方を共有するための情報です。工場・事業場としての利用を継続する予定か、関係者以外が立ち入る利用へ変わる可能性があるかなど、検討中の事項と確定した事項を分けて整理します。変更予定が具体化した後に、以前の確認を根拠に工事を進めるのではなく、計画に沿って所管窓口へ確認します。

所有者等の情報も併せて確認する

第3条の対象では、土地の所有者、管理者、占有者に関する情報が関係します。土地利用の担当者だけでなく、土地情報を管理する部署とも資料を照合し、誰がどの資料を持つかを明らかにします。相続、共有、契約の解釈などの個別の権利関係は、土地の情報を整理したうえで専門家や所管窓口に相談します。記事だけで役割を決めるのではなく、事実関係をそろえることが先です。

免除中に計画が変わる場面

一時免除中であっても、利用方法の変更や、確認に係る土地の形質変更を予定する場面では第3条の別の規定が関係します。確認書類を保管するだけでなく、利用計画や工事計画に変更が出た時点で再確認する運用を置くと、届出や調査命令の見落としを防ぎやすくなります。

土地利用の変更と形質変更の確認場面を示す図
土地利用の変更と形質変更の確認場面を示す図

利用方法の変更は早めに共有する

一時免除の確認に係る土地について利用方法を変更しようとする場合には、第3条第5項の届出が関係します。実際の届出内容や時期は、土地の状況と変更の内容により確認が必要です。事業計画の会議で土地利用の見直しが出たときに、確認書類の有無を確認項目に加えると、設計や工事の段階に入る前に相談の準備ができます。

形質変更は届出と命令を分けてみる

確認に係る土地で土地の形質変更をし、又はさせるときは、第3条第7項の届出が関係し、届出を受けた知事は第8項により調査と結果報告を命ずることになります。一時免除の確認と形質変更の届出は別の局面です。工事の進め方や解体の手続をここで判断するのではなく、土壌に関する行為、土地の範囲、着手予定を分けて所管窓口へ確認します。

法定の調査と土地利用の検討を区別する

使用廃止が第3条第1項に当たり、一時免除の確認がない場合は、指定調査機関に調査させて結果を報告する法定の流れになります。土地の利用可能性を検討するために情報を集める場面では、何の制度に用いる調査かを明確にしておくと、必要な手続が見えやすくなります。

法定の調査と土地利用の検討を分ける整理図
法定の調査と土地利用の検討を分ける整理図

法3条に当たる調査の位置づけ

法第3条第1項の調査は、指定調査機関に行わせることが定められた法定調査です。調査を依頼する際は、使用廃止に関する資料、土地の所在地、報告期限、一時免除の確認の有無を共有します。法定調査の位置づけは、土壌汚染調査が必要になる主なケースを参照し、個別の対応範囲は各機関に確認します。

任意の調査は目的と条件を確認する

土地利用の検討で行う調査は、法定調査とは目的が異なることがあります。法第14条の区域指定申請を考える場合には、調査を行う者の限定が置かれていない一方、知事が指定するには公正かつ法定の方法で行われた調査と認めることが必要です。調査の実施主体だけを切り離さず、結果をどの手続に使うかと併せて確認します。

一時免除に関する資料は、使用廃止に関する情報、免除の確認、土地利用の予定、形質変更に関する届出を時系列で保管します。土地利用の担当者が変わる場合も、免除の有無だけでなく、将来の形質変更により届出や調査命令が関係する可能性を共有します。調査結果を提出する段階になったときの確認事項は、土壌汚染調査の結果で最初に確認することも参照できます。

まとめ

法3条の一時免除は、使用廃止後の調査と報告を、知事の確認を前提に一時的に免除する制度です。確認後も土地利用の変更や形質変更の予定があれば、別の手続が関係します。使用廃止、確認、土地利用の予定を一つの資料で管理し、計画が変わるたびに前提を確認しましょう。

確認に使った資料の作成日と、将来の土地利用を検討した日を分けて残すと、計画変更の際に確認済みの事実と新たな予定を混同しにくくなります。事業所の閉鎖、移転、用途変更が同時に進むときほど、土壌に関する確認を工程表の早い段階に置くことが役立ちます。

使用廃止時を含む法定調査の入口は土壌汚染調査が必要になる主なケース、土地の形質変更に関する届出は土壌汚染対策法4条の届出、関連する制度は法令・制度解説で確認できます。

よくある質問

Q. 一時免除なら調査は不要ですか
一時免除は、都道府県知事の確認を受けた利用方法を前提として、調査と報告を一時的に免除する制度です。土地利用が変わるときや形質変更を予定するときには別の確認が関係するため、確認書類があることだけで将来の手続まで不要と判断しません。計画を更新した時点で、土地の範囲と変更内容を所管窓口へ確認します。
Q. 誰が一時免除を判断しますか
一時免除の確認を行うのは都道府県知事です。土地の所有者等や事業者が自ら一時免除と決めるものではありません。予定する土地利用、対象地の範囲、使用廃止に関する情報を整理し、所在地を所管する窓口の案内に沿って確認を求めます。確認に必要な資料は自治体の案内により異なるため、早めに問い合わせます。
Q. 土地を売る予定があるときはどうしますか
売却の予定がある場合は、一時免除の確認書類、使用廃止の情報、現時点で把握している土地利用の予定を整理します。売買契約の責任や条件を記事だけで判断することはできませんが、土地を引き継ぐ相手との情報共有により、確認すべき手続を早く把握しやすくなります。契約上の判断は関係する専門家にも相談します。
Q. 工事予定ができたら何を確認しますか
工事予定が具体化したら、確認に係る土地の範囲、予定する形質変更、着手予定日を整理します。第3条第7項・第8項の届出と調査命令が関係するかは、実際の行為と土地の状態で確認します。工事の規模や内容を名称だけで決めつけず、土壌汚染対策法担当窓口に図面や計画を示して確認する流れが確実です。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    土壌汚染対策法(laws.e-gov.go.jp)
  2. 2.
    土壌汚染対策法施行規則(laws.e-gov.go.jp)